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海外駐在妻物語 43


侵略カレー戦争 後半


パイプが詰まった時は・・・パイプが詰まった時は・・・
そのとき、私の頭の中に、ひとりのヒーローの名前がひらめいた。

「パイプマン!!!」

たしか、日本から1本、持ってきたはず!
私は玄関横のクローゼットに走った。
日本から持ってきた物品が納められているダンボール箱を引っ張り出し
その中から、われらが日本のヒーロー「パイプマン」を召喚した。

出でよ!パイプマン!!やっておしまいっっ!!

そのとき、隣のドアがあわただしく開け閉めする音がし、
我が家の部屋の前をお隣の兄ちゃんが駆けていく足音がした。
ヤツめ、、、敵前逃亡しやがったな・・・
こうなったら、私一人でも戦い抜いてやる!
国境を守る戦いが、切って落とされた。

キッチンに戻ると、シンクにたまっていた先ほどの水はなくなっていた。
わずかだが排水の経路は残されているようだ。
鍋をつかんで、お湯を沸かした。
パイプマンを投入するには、熱湯がいる。
お湯が沸くのを待つ間に、排水口の周りに沿うように、
パイプマンの粉末をこんもりと山のように積み上げた。
気分はすっかり、わずかな武器で秘密のミッションを行うランボーだ。

ゆっくりと熱湯をパイプマンの山に回しかけていく。
パイプマンを飲み込んだ排水口から、
ものすごい刺激臭の白い煙が立ち上ってきて、目がシバシバした。
カレーではなく、下水のニオイだ。
しばらく我慢して、水を勢いよく流してみた。
さっきと同じように、水はシンクにたまった。
うーーーん、、、ダメか・・・

水がひけるのを待って、再度パイプマンに出撃命令を下した。
もう、排水口の周りに積み上げることをやめ、直接管に投入した。
すぐに熱湯を流し込み、またパイプマンを振りいれ、
熱湯をかける、、、を数回繰り返した。
しばらくすると、「ジョワ~~~~~~~ッッッ」という音が聞こえてきた。
と、同時に、さっきより多くの煙がヘドロの臭いとともに立ち上がってきた。
あきらに1回目の攻撃よりも、敵にダメージを与えているのがわかった。

お願いお願いお願い・・・・
煙が一段落したころ合いを見計り、蛇口をひねった。
私の期待とは裏腹に、水はシンクに溜まっていった・・・

・・・っとその時、排水口からボッコンボッコンという音を立てて
、大きな泡が上がってきた。
ボッコン!!っとひときわ大きな泡が上がってきたかと思うと、
ズゴゴゴゴゴーーー!!!!と、とても大きな音を立てて、
シンクに溜まっていた水が渦を巻いて、
すべて排水口に吸い込まれていった。

・・・・静かにもう一度、蛇口をひねった。
蛇口から出た水は、何事もなかったように
シンクの表面ををつたって、流れていった。

勝った・・・!!
押し寄せる猫の手カレー団の手から、我が城を守った!
私は、両腕を天に突きあげた。

多分、腐ったカレーを押し流した、というより、
もともとかなり汚れがたまり、細くなっていた排水管のヘドロを
パイプマンの溶剤が溶かしたのだと思う。

なにはともあれ、よかった・・・ホッとしたと同時に、空腹を感じた。

私は、善戦した自分への甘いご褒美を買うために部屋を出た。
エレベーターのドアが開くと、中から隣の兄ちゃんが飛び出してきた。
彼は私と目が合うと、「ハーイ!」といつもより勇ましく挨拶した。
そして、その手には買ったばかりのパコパコする
あの棒状の「武器」が握られていた。
後は、彼に任せても大丈夫だろう。
私は彼の後姿に「アスタラビスタ ベイビー!」とつぶやき、
彼の乗ってきたエレベーターに乗って、
隣のモールにシナボンロールを買いに行った。


<追記>
私たちがこのアパートに暮らしたのは、たった1年だった。
次の年には、エドモントンに転勤になったからだ。
引越しに際し、食器棚を運び出した時、実はちょっとドキドキしていた。

後ろに穴があったらどうしよう・・・

もちろん、そんなものはなく、隣の兄ちゃんは「グッドラック!」と、
やはり猫の手をあげながら私たちを新天地に送り出してくれた。


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カスピちゃん

Author:カスピちゃん
弓と布と毛糸と
絵の具と戯れ
メロンパンとたこ焼きを
こよなく愛する
大阪のおかん。

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