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海外駐在妻物語 37



遅刻の言い訳


エドモントンに暮らし始めてしばらくした雪の朝、
行ってきますと家を出た夫が
すぐに戻ってきた。

どうしたの??と聞く私に
【鹿が死んでて、会社に行かれへん】と
苦笑いしながら答えた。

ナニ?ソレ??どういうこと??と尋ねる私に
【とにかく、会社に電話しやな・・・】と
受話器を握った。

聞き耳を立ててると
【団地の出口の前にエルクが死んでいて
クルマが出せない。ちょっと遅れる】と
説明している。

笑ってしまった。
日本だったら、【もうちょっとマシな言い訳をしろ!】と
上司に怒鳴られるところだ。

私たちは、タウンハウスと呼ばれる
何軒かがつながった長屋に暮らしていた。
そんな棟が敷地内に、何棟か建っていた。
その、敷地内から道路に出る出入り口のまん前に
エルクがクルマに轢かれて死んでいるというのだ。

近所の人もみんな出かけられないから大騒ぎになってる・・・
レンジャーには連絡したみたいだから、もうすぐ来るだろう・・・と
夫がいうので、
【そんなん、みんながいるなら
全員でちょっと脇に除ければいいのに・・・】というと
そんなん、絶対ムリ!と笑う。

エルクとは、日本語でなんていうのだろう。
大きな鹿、トナカイのようなヤツだ。
野次馬根性で見に行って、納得した。
体長は2m以上あるかと思われる巨体が
出入り口の真ん中に
デーーンと横倒しになっている。
多分、体重は300kg近くあるのではないか・・・
そりゃ、これじゃ、【ちょっと脇に除ける・・・】なんて
不可能だ。

周りの人の話を聞いていると
それがますます興味深い。

このエルクは、クルマに轢かれたと思われるのだが、
近くに轢いたクルマはないなーと言っている。

そりゃ、こんなの轢いたら、ビックリして逃げるよーと
思ったのだけど、
彼らの言い分は、こんなの轢いて逃げれたんだから
クルマは無事だったんだ、運転手は無事だったんだというものだった。

300kgの巨体、それにぶつかったら
小さなクルマなら、こちらのほうが大破し、
運転手が命を落としかねない。
ワタシが後に乗っていた【マーチ】なら
クルマのほうが、ひとたまりもなかっただろう。
これが、ワタシだったら
朝、発見されるのは、エルクではなく
グチャグチャにつぶれたクルマの中で
命を落とした私自身のほうだ。

その後、夜中、ロッキー山脈の中を走っていて
グリズリーベアを轢いたクルマが
ボンネットに死んだクマを乗せたまま
近くのロッジまで助けを求めにやってきた・・・という話を聞いた。
学習しない私は、【降ろせばいいのにー】と思ったけど、
一人じゃ到底ムリなのだ。
轢いたはずみでクマがボンネットに載ったにもかかわらず
よくまあ、クルマが動いたもんだ、
やっぱりキャディラックはすごい!!という話に度肝を抜かれ、
マーチじゃなく、キャディラックに乗りたい・・・と心底思った。

しばらくして、レンジャーがやってきた。
小さなクレーンなんかをつかって、
トラックの荷台に巨体を回収した。

近所のおっさんたちが、【顔はきれいので
アタマを飾りにしたいから、もらえないか】とか
【一度食ってみたいから、肉はもらえないのか】とか
口々に聞いている。

自然のものなので、それはできないと
レンジャーはさっさと行ってしまった。

・・・・・・・・・・

今現在、カナダに出張中の夫から
連絡が来た。
エドモントンから西に3時間ほど
ロッキー山脈の中のキャモアという町では
昨日も今日も雪が降っているらしい。

ニヤリ・・・

全くほんとうに、ここの自然は
ワタシの想像の範疇を大きく超えている・・・・

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カスピちゃん

Author:カスピちゃん
弓と布と毛糸と
絵の具と戯れ
メロンパンとたこ焼きを
こよなく愛する
大阪のおかん。

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