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海外駐在妻物語 34



泡地獄



突然だが、海外で作られている【世界地図】を
見たことがあるだろうか。
地球儀ではなく、1枚の平面に描かれた世界地図。
太平洋が真ん中に配置され、右側に北米大陸
左側に中国、その向こうにヨーロッパが描かれている。
日本は、赤く塗られ、世界の真ん中に配置されている。

私たちが知っている世界地図は、日本だけのものだ。

カナダで見た世界地図は、一見は同じように見えるのだが
真ん中にあるのは、太平洋ではなく、大西洋だった。
右側にヨーロッパから連なるユーラシア大陸が、
そして左側に北米大陸が描かれている。
日本は右の端っこにチョコンとある、
文字通り【極東の島国】だった。

これをはじめてみたときの衝撃とカルチャーショックは
忘れられない。
日本の世界地図は日本が真ん中に描かれていて
アメリカは【海を挟んでお隣の国】くらいに考えていたが
カナダの地図で見ると、遠く東と西に離れている。
これが、【文化の違い】とか【ものの見方の違い】とかいうものを
如実にあらわしている気がする。

よく、【グローバルな視野で】とか【世界標準で】とか言われるが
平面の世界地図をアタマに描くと、
どうしても自国を真ん中に配置して考えてしまう。
きっと、ほんとうのグローバルな視野でモノを見ようとするなら
まず、どこにも基準をおかない地球儀を思い描くことではないかと
私は勝手にそう解釈している。

*****

やっと、エドモントンに私たちの荷物が到着した。
トロントから陸路トラックで大陸を横断してきた家財道具は、
真冬の悪路の1週間の旅を終え、新しい住まいに運び込まれた。


トロントでは、アパート暮らしだったが
新しい家は【タウンハウス】と呼ばれる、
隣とつながった、日本で言う長屋だ。
4軒がひと続きとなり、我が家は右端、
ブルーの壁に白のサイディングがかわいい。

地下室には我が家専用の洗濯機と乾燥機がある。
トロントのアパートでは、地下の共同洗濯場に
クォーター(25セント玉)を5枚持って、洗濯に通っていた。
薄ら暗い地下室なので、洗濯が終わるまで、部屋に戻っていると
次に洗濯機を使いたい人に、洗いあがった我が洗濯物を
勝手にかごの中に出されている・・・・ということも多々あり、
私としてはとてもストレスだったのだ。
これからはそんな心配もなく、洗いたいときに洗濯できる。

そして、もうひとつ、この家のキッチンには
憧れの食器洗い機が付いていた。

荷造りのために、訳のわからんカナダ人のおっさんに
触られた食器を、一応全部洗って片付けることにした。
和食器の土モノや金飾りのあるものは、手で洗うことにしたが
それ以外のディッシュウォッシャーに入れれそうなものは
ルンルン気分で中に並べ、洗剤を入れてスイッチをオンした。

ディッシュウォッシャーの中で、シャワーがグワングワン回る音がする。
トロントのカナダ人宅でご飯をご馳走になり
そのお皿を手でシンクで洗っていたら
その家のご主人に
【そんなに水を使うな!!】
とリビングから怒鳴られたことがある。
蛇口から水を出しっぱなしにして、お皿をすすぐのが
お気に召さなかったようだ。
すすぎは、シンクにためた水の中を、すっとくぐらすらしい。
(余談だが、オランダではすすがない)

【そうはいうけど、ディッシュウォッシャーは
結構水を使っていると思うけどな・・・・】などと考えながら
手洗いをしていた。

まだ、ディッシュウォッシャーの中では、グワングワン音が続いている。
手洗いを終えて、さあ、キャビネットのこれらを片付けましょう・・・と
足元をみてビックリした。

床が泡だらけだ!!!

暖かいので気が付かなかったが、
私は膝の高さの半分まで泡に埋まっていた。
キッチンの床が全面泡だらけ!!
映画【プリティーウーマン】のお風呂のようだ!!

見ると、ディッシュウォーッシャーの扉の間から
次から次に泡が生み出されてくる。
文字通り、泡食った私は
とりあえずソレをオフにして、キッチンの泡の中を
反対壁にかけてある電話をめざして
遭難しないように突き進んだ。
すぐに夫の会社にSOS電話をし、事情を説明すると
夫は【管理人さんのところに行って
Water is leaking.>といいなさい】と私に指示した。

電話を切って、上着を引っつかんで、表に飛び出した。
と、途端に私の足首はガチンガチンに凍りついたのだ。
外はマイナス20度近く。濡れたズボンなら当然の結果だ。
数十メートル離れた管理人さんちに到着するまでに
私の足は凍傷になるだろう。
服を着替え、ブーツを履き、完全防寒をして
改めて管理人さん宅を目指した。

管理人さんに【ディッシュウォッシャーからWaterがleakingした!】と
いうと、すぐにその場で業者に連絡を取ってくれた。
1時間後には修理に来てくれるらしい。
助かったー・・・と家に戻り、修理のおじさんが来るまでに
この床の泡を片付けないと、、、と掃除を始めた。

めちゃめちゃ苦労した掃除が丁度終わった頃、
業者のおじさんがやってきて
ディッシュウォッシャーのドアを開けた途端
ニヤっと私に笑いかけて、こう聞いた。

【どんな洗剤を入れた??
漏れたのは水じゃないよね??】


ハイ、先生・・・漏れたのは水ではありません。
私は英作文において、ウソの翻訳をしました・・・

私はカウンターの上にあった【カナダ版ママレモン】に目をやった。
おじさんとママレモン越しに目があった。

【これは入れちゃだめだよ~~(笑)】

スーパーに、【食器洗い機専用洗剤】なるものが
売っているのは知っていた。
大概は、粉か固形だ。
だが、食器洗い機専用洗剤と手洗い用洗剤の違いは知らなかった。
一番の違いが、泡が立つか立たないか、なのだ!!

極東の島国からやってきた小娘に
おじさんは優しく教えてくれた。
メモには私が買うべき専用洗剤の名前を列挙してくれた。

それからおじさんは、恥ずかしさで2回りくらい小さくなった私を尻目に
シンクから冷たい水を引いてきて
ディッシュウォッシャーの中を掃除した。
冷たい水は、泡を抑えるそうな。
ご丁寧にも、洗剤入れの中をマンマンに満たしたので
すぐには泡は消えてくれなかった。
ようやく泡立ちがおさまってきた頃、おじさんは私に
【レモンがあるか】と聞いた。
レモンも泡を抑える効果があるらしい。

たまたま2つあったレモンをおじさんに差出した。
よかった、、、レモンがあって。
なかったら、もう1回り小さくなるところだったよ・・・。

おじさんはレモンを2つに切って、中でぎゅっと絞ったあと
そのままレモンをディッシュウォッシャーに放り込んで
スイッチをオンした。
グワングワンと動き出したが、もう泡は出てこなかった。

小さくなって【ありがとうありがとう】を連発する私に
【もし、油で汚れた食器をいれていたなら
こんなに泡はたたなかったんだけどね~】と
援護射撃までしてくれた。

【キミの国にはディッシュウォッシャーはないだろうから
仕方ないよ。気にしない気にしない】
・・・・と笑いながら帰っていった。


これ以降、暮らした海外の家には
すべてディッシュウォッシャーがついていたが
ほとんど使った記憶はない。
このときの失敗がトラウマになっているわけではなく、
やっぱり極東の和食器にはその機能がそぐわなかったから、と
強がりを言っておこう。



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Author:カスピちゃん
弓と布と毛糸と
絵の具と戯れ
メロンパンとたこ焼きを
こよなく愛する
大阪のおかん。

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