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海外駐在妻物語 45



モスキートチェック

エドモントン。

そこは、冬は極寒の地なのだが、夏も灼熱だ。
内陸性の乾燥した気候なので
冬は-35℃に冷え込むが、
夏は35℃になる。
1年の寒暖差、70℃以上という土地柄だ。

ただ、乾燥しているので、日陰に入るとひんやりとしている。
その気温差が、トルネードを生み出す原因の1つである。

私たちは蚊に悩まされた・・・

その夏、エドモントンでは蚊が異常発生したのだ。

*******

前回記事にしたような、ゴルフ場で突然
サンダーストームに見舞われた場合、
プレイコースが半分以上残っているときは
「レインチェック」というのをもらえることが多い。

ストームが過ぎて雨が上がっても、
コースがグチョグチョになっている。
プレイを続行されると、芝生が痛む。
だから、「また、別の日に来てね」と
やり直しのための1回タダ券をくれるのだ。
それを、「レインチェック」という。

その年のエドモントンのゴルフコースでは
レインチェックならぬ「モスキートチェック」なるものが
発行された。

そう、蚊が多すぎて、プレイ続行が難しくなったからである。

当時のカナダは、日曜日はお店が休みだったので、
出かけるところもなく、夏の日曜日は夫婦でゴルフをしていた。
日本に比べたら、とにかくプレイ代は安い。
日本で映画を見るくらいのお金で、1ラウンド回れるので
格好のお遊びだった。

今年は例年より蚊が多い、、、とは聞いていた。
その日のゴルフ場のフェアウエイの上は
黄色いモヤがかかっていた・・・・

コースに出てそれが、蚊の集団である、ということを
身を持って知った時には、時すでに遅しだ。
次のショットを打とうと、クラブを構えて動きを止めようもんなら
何十匹、何百匹という蚊が群がってくる。
エドモントンの蚊は、日本のシマシマのイエ蚊よりふた回りくらい大きく
金と茶色のシマシマで、ちょっとたたいたくらいじゃつぶれやしない。
虫よけスプレーを吹いてきたが、こんなもんで身が守れるとは
到底思えなかった。

隣のコースの人が、私たちがプレイするコースに
打ち込んできた。
2つのコースを隔てる林の間から姿を現した男性の姿を見て
目を疑った。

養蜂家がなぜここに???

そう、あの、ミツバチを育てている農家の人のような
かぶり物を頭からすっぽりかぶり、
カラダにも蚊帳で作ったようなジャケットとパンツを身につけていた。
まさしく、コスプレ養蜂家状態。
その恰好でゴルフクラブをブンブン振り回していた。

・・・・要る。確かに、あのいでたちでないと、
この中ではロクにプレイなどできないよな・・・・

半袖半パンの私たちは、
あきらめてクラブハウスに引き上げた。
まさか、そんな補償はしてもらいえないだろうと思っていたのだけど
受付のお姉さんは、「今年は異常なのよ、どんどん増えてるわ」と
蚊が落ち着いたら、また来てね~と
レインチェックならぬ、
「モスキートチェック」とも呼ぶべきものをくれた。

*******

その後も、蚊は増え続けた。公園やゴルフ場だけでなく
市街地にも蚊がブンブン飛び回った。

店頭からは、虫よけスプレーが売り切れた。
スプレー式の殺虫剤や
今までは、めったに売れてないだろう「蚊取り線香」なんてものも
品薄になった。

その頃、爆発的に感染者が増え、
有名人の感染者がカミングアウトしたりして
「エイズ」という病名が、世界を恐怖にたたき落としていた。

そして、今では間違いであることが常識になっているが
当時「蚊でエイズがうつる」と風潮されていたのだ!!

増え続ける蚊に、街はパニックに陥った。
私も、気休めだと思いながらも
日本の親から、虫よけスプレーを送ってもらった。

とにかく、外を出歩けない。
冬の寒さから解放され、夏は屋外を目いっぱい楽しみたいのに
外に出れない。
外に出れないどころか、ショッピングモールの中でも蚊に刺される。

いよいよ、エドモントン市民が
どうにかなってしまうのではないか・・・というころ
あらゆるメディアを通して、お上のお達しが出た。

「今週の金曜日の夜は、外出しないように。
窓をキッチリとしめて、就寝するように。
屋外の洗濯物は、必ず、取り入れるように。
子供のおもちゃや、三輪車の類は、
すべて家の中にいれるように・・・などなど」

金曜日から土曜日になる深夜、エドモントンの上空から
殺虫剤の散布が行われた。

夜中、バラバラバラバラ・・・と飛び回る飛行機のプロペラ音を聞いた。
「しっかり、我が家の周りにも散布してね~・・・」と
ベッドの中でお願いした。

*******

次の朝、新聞を取りに玄関ドアを開けた。
目の前に停めてある、我が愛車のフロントガラスのワイパーのあたりが
なにやらモヤモヤとした埃のようなものに覆われていた。

近づいて、ぞっとした。
そこには蚊の死骸がてんこ盛りされていた。

ドアの横の吹き溜まりには、
抱えるほどの埃の玉が、、、否
蚊の死骸の玉が転がっていた。
街のあちこちに、独身者の部屋のごとく
綿ぼこりならぬ、蚊の死骸のホワホワが溜まり漂っていたが、
その上に広がる空は、久しぶりにスカっと青く澄んでいた。











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カスピちゃん

Author:カスピちゃん
弓と布と毛糸と
絵の具と戯れ
メロンパンとたこ焼きを
こよなく愛する
大阪のおかん。

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